狭い世界から抜け出して

大学生になって、初めて世間、を知った。
世間っていうのは大人の、社会の、カッコイイものだ憧れる、早く働きたい、夢を叶えたい、バイトとかしたいな〜、一人暮らししたいな、なんて綺麗な妄想ばっかり描いていた高校までの私。

大学生になって、私は県外で一人暮らしを始めた。親に大切に育てられたから、これはこうなんだよ、これはしたらダメだよ、全部親の言葉だけを信じて、したらいけないこと、したらいい事、全部判別して、私の中の「普通」という価値観、世界観を構成していた。だから突然外に出された私は、インターンを受けずにそのまま突然社員にされた大学生みたいに、私は何も知らないまま何も経験しないまま大学生になった。汚い世界を知った。未成年の煙草もお酒も容認してしまう世界、援助交際、セフレ、まぁほかにもいろいろ。私は、黄色い信号で渡ってはいけない、と思っていたくらい純粋な子だったので驚きと戸惑いが隠せず、でもそれをもうそのまま受け止めるしか無かったからいつの間にかそれが普通なんだ、なんて流されていた気がする。だけど私はそれを友人に言われる度に、「それ、普通はしないよね、普通は。」「普通は〜だよね。」と、私の狭い世界の中の「普通」を他人に押し付けていた気がする、と広い世界を知った後に気づいた。

それが嫌だな、と気づいてからよく気をつけるように喋るようになった。人に送る文章をよく考えるようになった。人と話す時うまくすらすらと話せなくなった。人と喋って傷つけていないか気にするようになった。人に会うのがめんどくさくなった。一人でいることが楽だと気づいた。

私は狭い世界から広い世界に投げ出されて、抜け出したのに、結局狭い世界にまた閉じこもろうとしている気がする。