文藝に耽っている

溜息をつく
息を吐く
幸せが逃げないように
その吐いた息を吸う

ゆっくりと流れる
時の歩幅は小さく
考えることは増えていく

音が鳴く
痛い、痛いからもう、
そんなにかき鳴らさないで
泣かないで、と。
私の苦しみをすくいあげる

影の多い日
どんよりとした空気
部屋に入った淡い色は
溜息をついているようで

海を見る
世界はこんなにも広いのか、と
私は小さくて、こんなものか、と
消えてしまっても
きっと誰も気づかない果てまで
歩いてしまおうか

人生に愛は必要か
愛のある貴方が言う
言葉に小さく隙間が見える
足を落としてしまわないように
ゆっくりと歩く

言葉は嘘をつく
心だけを取り出して
撫でてしまえばきっと
貴方の声が聴こえる

正しさを歪みで曲げる
ただ夏に蝉の鳴き声でかき消す
それは故意に、聞き返す
それは恋に、聴き返す

本能的に罪を償う心がある
本能的に愛する心がある
本能的に葛藤を描く
本能的に果を紡ぐ

文藝に耽っていた
言葉は私をあたたかくする
心を包む
日常さえも変えてしまえば
きっと忘却と静寂を育む
それはあたたかく
時に冷たく。
脆く、儚い糸を
細い針穴に通してしまえば。

今日も、雨は止まないみたいだ、