再会


2年ぶりに会ったあの日と2年前のあの日。
全然違って見えた。多分、それは私の感情だと思う。君はあの日とすごく違っていた。確かに、誰かに憧れて真似したその髪型とか、いつの間にか系統が変わってしまったその服装とか、喋り方とか、そんなものも確かに、目に見えて変わっていたけれどそうじゃない。小さな体で、私の方が大きく見えていた心が、2年の間に追い越していた。私には触れられないくらい大きな器で、私はもう包み込んでくれない。私にだけ与えていたあの優しさは、もう誰のものでもない。細いのに骨ばった手とか、綺麗で長い首とかが、やけに大人っぽく見えた。
2年ぶりに再会した今日、あの時と同じように、ぬるま湯に一緒浸かっているように喋った。暖かくて嬉しくなった、と同時に苦しくなった。私はもう他の人のものなのに。君が歌う歌が全部、私に向けられている気がした、いや、そうでありたかった。君の頭の中から溢れ出した歌詞が、私のことであってほしかった。君の頭の中が私でいっぱいだったあの時に書いた曲であって欲しかった。の、かもしれない。自分でもよく分からない。友人からの声がかかったのに、「ちょっと待って、今話してるから後で行く。」と、私との会話を止めずに最後まで聞いてくれた。そういうとこが好きだった。変わってなかった。暖かさをまた、感じてしまった。苦しい、苦しかった。


帰り際に、「じゃあ、」と言った。「またね」はなかった。別れた同士の関係にまたはない。もう二度と会うことが無いかもしれないその暖かくて冷たい別れが惜しかった。